今日の高松宮記念はG1としては10年ぶりの1着降着となりました。
コロナの影響で初めての無観客でのG1、中山では雪が降って中止、中京も重馬場などなど荒れそうな気配がプンプンしていましたがこういう荒れ方をするのは想定外でしたね。
今回の降着の裁定は妥当だったと思います。
しかし、結構複雑な状況でもあり、より詳しく見ていきたいと思いました。
11R(高松宮記念(GⅠ))における降着・制裁
1位に入線した11番クリノガウディー号(和田 竜二騎手)は、最後の直線コースで内側に斜行し、3番ダイアトニック号(北村 友一騎手)および16番モズスーパーフレア号(松若 風馬騎手)の走行を妨害しました。その走行妨害がなければ被害馬ダイアトニック号およびモズスーパーフレア号は加害馬クリノガウディー号に先着できたと裁決委員が認めたため、11番クリノガウディー号は4着に降着となりました。
この件について、和田 竜二騎手は4月11日(土曜)から4月19日(日曜)まで9日間の騎乗停止となりました。
裁定の内容なこのようなものでした。
まず、実際の着順を並べてみます。
1着・・・クリノガウディー(加害馬)
2着・・・モズスーパーフレア(被害馬小)
3着・・・グランアレグリア(無関係)
4着・・・ダイアトニック(被害馬大)
かなり長い審議でしたが、実は色々なパターンが考えられたのです。
1、クリノガウディーの妨害がなくてもダイアトニックとモズスーパーフレアは先着できなかった場合つまり、着順通り決定というパターンです。
今までですとこれが多かったですよね。
変化を感じたのはそれこそダイアトニックが加害馬となって降着したあのレースですよね。
このパターンも無くはなかったと思います。
ダイアトニックには大きな被害がありましたが頭差の着差があり、順位がひっくり返っていたとは今までなら判断しなかった場合もありえます。
モズに関しては着差はほんの僅かですが、そもそも被害も小さめでしたので判断は難しいです。
どちらにしても、このケースは着順通りの確定になります。
2、クリノガウディーの妨害がなければモズは勝てたがダイアトニックは先着できたとは言えない場合モズとクリノの着差はほんの数センチくらいでしたので、被害としては小さめではありましたがあれがなければ勝っていたと言うことはできそうです。
ダイアは頭差だったので先着できたとは言えないというケースも考えられます。
その場合、こういう着順になるはずです。
1着・・・モズスーパーフレア(被害馬小)
2着・・・クリノガウディー(加害馬)
3着・・・グランアレグリア(無関係)
4着・・・ダイアトニック(被害馬大)
3、クリノガウディーの妨害がなければダイアトニックは先着できたが、モズは影響が小さい場合ダイアがクリノの妨害の影響はかなり大きかったです。
なので、それがなければ先着できたと判断するのは妥当でしょう。
逆にモズは確かに影響は受けましたが、ダイアと比べると被害は小さいものでした。
なので、それは降着させるほどのものではないという判断もありえたはずです。
その場合の着順はこうなります。
1着・・・モズスーパーフレア(被害馬小)
2着・・・グランアレグリア(無関係)
3着・・・ダイアトニック(被害馬大)
4着・・・クリノガウディー(加害馬)
結果的には今回の裁定後の同じ着順ですが中身は違ったりします。
ダイアとクリノの間の着順のやりとりであって、この場合モズは繰り上がりという感じになります。
4、クリノガウディーの妨害がなければダイアトニックもモズも先着できた場合これは今回の裁定のケースになります。
私もこれが妥当だと思っています。
特にダイアトニックの被害はかなり大きいですし、立ち上がってコントロールを失いかけてますからね。
もともと寄れる馬だったようですが和田騎手も右ムチ入れてましたし良くなかったと思います。
今回、実はネット上などで着順について疑問を感じている人がいるそうです。
それは降着の裁定に対する疑問ではありません。
無関係だったグランアレグリアに関するもので興味深かったので取り上げます。
今回、加害馬と被害馬2頭の間に無関係だったグランアレグリアが挟まれており、これが理解するのにやっかいな部分になっているそうです。
つまり、その論理とはこうです。
今回の裁定は妨害がなければクリノガウディーよりモズスーパーフレアとダイアトニックは先着していたという結論です。
つまり、この3頭の順位としては以下に確定します。
モズスーパーフレア(被害馬小)
ダイアトニック(被害馬大)
クリノガウディー(加害馬)
そこに、無関係だったグランアレグリアを入れてみます。
グランアレグリアは何の被害も受けずにクリノガウディーに負けています。これが重要です。
つまり、以下の順位が正しいのではないか?という疑問です。
1着・・・モズスーパーフレア(被害馬小)
2着・・・ダイアトニック(被害馬大)
3着・・・クリノガウディー(加害馬)
4着・・・グランアレグリア(無関係)
どうですか?
理屈だけで考えるとこれもアリのような気がしませんか?
ただし、そこにはJRAの降着のルールがあります。
「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着となります。
加害馬は被害馬の後ろに降着するのがルールなのです。
なので、無関係のグランアレグリアは2着になるのです。
まぁ、普通に考えれば、無関係の馬が着順が下がるというのは最も不合理でもありますからね。
少し古い世代ならメジロマックイーンの降着を知っていますから特に違和感はないかもしれません。
あれもメジロマックイーンは18着に降着していますが、その間にいた馬たちすべてに被害を与えたわけではありません。
被害馬の中に18着だった馬がいたから、その馬より下に降着し18着になったのです。
今回G1で久々の降着となりました。
しかも、被害馬が2頭おり、無関係の馬も間にいるというレアケースだったので裁定としても興味深いものでした。
個人的には、やったもの勝ちになるのが最もダメだと思うのです、降着は厳しく判断しても良いと思っています。
それにしても、シルクのダイアトニックは前走は不利与えて降着し、今回は不利受けて負けてしまい噛み合いませんね。
出資者の方も何とも言えない気持ちでしょう。
次こそは頑張ってほしいですね。
記事が興味深かった、面白かった方は下の「拍手」をクリックお願いします。
ランキング等関係ありませんが、今後の参考、励みにさせていただきます。