馬主でもあった作家の菊池寛の言葉が残っている。
「楽しみを覚える割合を較べれば、心配や憂鬱を味わう時の方が多い。馬を持っていることの楽しみが2,3割だとすれば、心配や憂鬱の率は、まず7,8割にも及ぶであろう。それも、大部分は馬の故障から来るのだ。馬主にとっては、少しくらい素質が秀でているということよりも、常に無事であってくれることが望ましい。無事是名馬の所以である。」
一口馬主になってまだ半年程度であるが、この言葉を本当に実感する。
私の出資馬は、まだそこまで大きなアクシデントはないが、出資を始めたシルクの12年産の馬にも様々なアクシデントが起こってしまっている。
・ジュタドール(シャルマンレーヌの12)
腸炎をおこし、回復してきたところに肺炎を発症し、起き上がることもできなくなり安楽死処分。
・ラダームブランシェ(アーデルハイトの12)
歩様に違和感が出たためにレントゲンを撮ったところ剥離骨折が見つかり除去手術。デビューまでしばらくかかりそう。
・ヴィクトリーコード(クロースシークレットの12)
原因不明の歩様の乱れで電気針などで継続的に治療。治ったかと思われたがまた違和感がでてしまった。
・ブレーヴストーリー(シェアザストーリーの12)
腸炎を発症し、かなり危険なところまでいったようです。今はなんとか復活し減ってしまった体を回復中。
・ファヴォリート(マチカネタマカズラの12)
喉鳴りをあり手術を受ける。その後は順調に回復しているようだ。
・キッスアフィニティ(キッスパシオンの12)
フレグモーネの症状が重症化。切開して洗浄するとのことで心配だ。
その他にも、発熱、脚の疲れ、脚の腫れ、歩様の乱れ、違和感、モヤモヤ、皮膚病、食欲不振、外傷、骨瘤などなど、更新を見るたびにどれかの馬が何かアクシデントが起こっています。
もちろん、まだこの世代のシルクにはいませんが、レース中の故障で予後不良なども当然ありえるのです。
そして、競走馬の不治の病といわれる屈腱炎もあります。
馬券を買うことでしか競馬に関わっていないと、こんなに順調にレースに出ることが大変だなんて思いませんでした。
出走の決まった馬たちを比較して楽しむだけだからです。
しかし、本当の戦いは出走に至るまでにあるのです。
ブログや掲示板でよく、順調にいってほしい、無事に走ってきてほしいという言葉を見かけます。
よく知らない人には何か綺麗事の応援コメントのように見えるかもしれません。
しかし、それは本心なのです。
これだけ、色々なことが起こり本当にレースに出ることがどれだけ大変か、そして無事にレースを終えることの難しさを知っている人の心からの気持ちなのです。
今週、2頭の出資馬が出走します。
もちろん勝ってほしい、それは偽らざる気持ちです。
ただし、1番は無事に戻ってきてほしい。
一口馬主になって強く思うようになった感情です。
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本当にそうですね。
無事デビューを迎えることの難しさ。
名前さえ付かず、○○○の12等のまま一生を終える子達だっていますものね。
皆の無事はもちろんですが、とくに出資した同年の募集馬は(自分が出資していなくても)お顔なんかも覚えているだけに思い入れもあります。
みんなが無事に競走馬生活を過ごせればと願わずにはいられません。